推薦図書:C階段で行こう!(クジヒロコ)
この度クージーの著書"C階段で行こう!"を読了し、改めてこれはスピッツファンとしては涙が出るくらい貴重な本であるということを実感しつつ、その有り難さとともにご紹介しようと思います。
スピッツは過去に、「スピッツ」というロッキングオンジャパンでのインタビュー集や、「旅の途中」という軽いエッセイ本を出している。だけどこのC階段は、それらよりもグッとリアルだなと感じました。
それはクージーという、スピッツ自身ではなく、でもスピッツの四人(時にはスタッフも含め四人以上)の、スピッツとしての時間を一番近くで見ている視点であり、この内でも外でもない、スピッツの音楽を奏でながらも本人が一番のスピッツファンであると自称する、唯一無二の立場から書かれたものであるというのがすごく貴重であり、書かれているすべてが手に取れるように現実的でありながら、目を閉じても想像が及ばないくらい、夢のような描写なのである。ここまで句点なしというところから私の興奮度合いが読み取れます。
クージーが楽器や機材について語るとき、それは必ずスピッツの楽曲ではどう活かされているのか、どうしてそういうチョイスになったのかという話が織り混ぜられて、そこからスピッツの音へのこだわりや柔軟性が垣間見られます。また、そういった音を決めていく過程、ライブツアーの際の行動から、スピッツの四人の性格や趣向まで少し分かっちゃったりする。本人たちでは、意識してなかったり恥ずかしかったりして、なかなか言葉にはされてきていないかもしれないことを、クージーというフィルターが映し出してくれる。ファンとしてこんなに有難いことはないですね。
自分たちが知り得る範囲のスピッツのメンバーの人間性や音楽性との答え合わせをしてる気分になれます。とは言え、私なんかが考えてるよりも四人とも、もちろんクージーも、スピッツを囲むスタッフも、とても深く考えていて、愛があり、人として素晴らしいということを実感する。3/11の時のこと、その後のことも、深くはありませんが少し触れられています。
私は音楽や楽器、バンドという一般的なカテゴリーに関しては全くの無知なのですが、そんな私でもめちゃくちゃ読みやすい。クージーの音楽への愛と、客観的な説明の上手さですね。洋楽のロックバンドの名前がたくさん出てくるので、洋ロック好きにも面白いかもしれません。スピッツの過去のアルバム曲が、どんな洋楽ロックバンドに憧れ、影響を受けているのかとか、具体的に解説されちゃっています。
個人的には、先日くるりのライブに行きまして、ところどころでくるりの文字を見つけてテンション上がりました。ホテルのテッちゃんの部屋からうっすらくるりが聴こえてきた…とか…オフの時のテッちゃん…が…聴いていたくるりを…私も…聴いている!!!!ってなれるので、最近は移動時などによくSpotifyで聴いてる。これはもう間接的にスピッツ聴いているようなもの(?)。
あと、10年くらい前の夏イベで草野さん、あの曲歌ってたんだ…とか。過去のイベントでのカバー曲や、共演者、そして共演者への当時の印象など、本当に飽きることなく、いつまででも読める。いくらでも読める。いくらでも読みたい。
とにかく、え、そんなことが!みたいな話にまみれているので、スピッツファンの方には絶対読んでほしいなあと思っています。一年越しに買った私が言うのもアレだけど。(本書が発売されたのは確か去年…)
旅の途中も発売から大分経ったし、またスピッツ本出してほしいなあ。
以上推薦図書のご紹介でした。
2018.11.08記
2020.01.09編集
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